Keys-Lab「ピアノ伴奏マスターコース」は、初心者からでも伴奏の付け方や作り方を理解してもらうためのコースです。
カリキュラムを実践してもらう前に、カリキュラムの概要・エクササイズ・学習の進め方やマインドセットについて解説します。
この記事のポイント
- 「ピアノ伴奏マスターコース」カリキュラムの概要がわかる。
- ピアノ伴奏に必要なエクササイズについての考え方がわかる。
- 学習と実践、練習に関する基本的な考え方とマインドセットがわかる。
1.カリキュラム概要
Keys-Lab「ピアノ伴奏マスターコース」のカリキュラムについてご説明します。下記は全体のイメージ図です。
コースは「初級コース」「中級コース」「上級コース」の3つのレベルに分かれています。
まず初めに、それぞれのレベルで覚えるべき知識や手法・テクニックなどを学習してもらい、各レベルの最後に用意した課題曲を用いて、知識を実践的に使ってもらう設計になっています。
各コースでどのようなことを学ぶかを見ていきましょう。
1. 初級コース
初心者はとにかくコードの知識をしっかり身につけることです。初級コースでは以下のような内容が身につきます。
- コードの基礎(主要な三和音・四和音)が理解できるようになる。
- コードネームから適切な押さえ方を見つけられるようになる。
- 楽曲の雰囲気に合ったリズムパターンを選び、正確なリズムで演奏できる。
- 分散和音を活用した基本的なフレーズが使える。
- 簡単なメロディーのインストセクションで、ソロピアノアレンジができる。
最初はアップテンポの楽曲は難しいので、バラードなどスローテンポのものや8フィールでコードがシンプルなやさしい曲調のものを中心に取り上げていきます。
初級コース課題曲
曲名 | Key | Tempo | 難易度 |
キセキ (Greeeen) | C | ミドル | ★★☆☆☆ |
空も飛べるはず (スピッツ) | C | ミドル | ★★☆☆☆ |
涙そうそう (夏川りみ) | F | スロー | ★★★☆☆ |
Everything (It’s you) (Mr.Children) | G | スロー | ★★★☆☆ |
糸 (中島みゆき) | Bb | スロー | ★★★☆☆ |
マリーゴールド (あいみょん) | D | ミドル | ★★★☆☆ |
2. 中級コース
中級者は、さまざまリズムの楽曲に対応できるようにするのと同時に、伴奏を華やかにするテクニックを身につけていきます。
- ノンダイアトニックコードを使いこなし、より音楽的なアレンジを加えることができる。
- さまざまなリズムに対応して、イーブンやシャッフルなどのノリを意識して演奏できる。
- 分散和音やアルペジオを組み合わせて、華やかなアレンジが作れる。
- 楽曲のモチーフを活用したアレンジができる。
- アップテンポの楽曲に対応できる。
課題曲はリズムの強化を目的とした楽曲が中心です。テンポの速さや音符の細かさは難易度が飛躍的にあがるので、このレベルでは主にリズム強化が目的になります。
中級コース課題曲
曲名 | Key | Tempo | 難易度 |
丸の内サディスティック (椎名林檎) | Ab | ミドル | ★★★☆☆ |
怪獣の花唄 (Vaundy) | D | アップ | ★★★☆☆ |
全力少年 (スキマスイッチ) | D | ミドル | ★★★★☆ |
奏 (スキマスイッチ) | Bb / Db | スロー | ★★★★☆ |
3. 上級コース
上級コースでは、あらゆる楽曲に対応できるだけでなく、自分の解釈やオリジナリティをアレンジに組み込み、即興演奏にも対応できるようになっていきます。
- テンションボイシングを活用したボイシングやリハーモナイズで、オリジナルのアレンジが作れる。
- ブルーノートやペンタトニックを活用したフレーズが作れる。
- 原曲にとらわれないオリジナルのソロが作れる。
- 即興で伴奏ができる。
課題曲は既存曲の中でもかなり難易度の高いものを選んでいます。このレベルでは音楽的な解釈を深めることや、演奏レベルの底上げを目的としています。
上級コース課題曲
曲名 | Key | Tempo | 難易度 |
白日 (KingGnu) | Db / D | ミドル | ★★★★☆ |
花束のかわりにメロディーを (清水翔太) | Ab | スロー | ★★★★☆ |
SWEET TWEET (Official髭男dism) | F | ミドル | ★★★★☆ |
★★★☆☆ | |||
★★★☆☆ | |||
★★★☆☆ |
2.エクササイズ
すべてのレベルで、コード・スケール・リズムを強化するためのエクササイズを用意しています。それぞれのエクササイズは基礎力の向上につながります。
楽曲の練習が一番大切ですが、曲が変わっても対応できる根本的な能力を高めることも大切です。
楽曲の練習とエクササイズを並行して取り組むことで、より実践的な力が身についていくでしょう。下記ページでピアノ伴奏のエクササイズについて解説しています。
練習の割合について
多くの人はエクササイズをやったことだけに満足しがちですが、エクササイズよりも楽曲の練習を大切にしてください。
楽曲の練習とエクササイズの割合は「7:3」くらいにしましょう。 例えば、1時間練習できる場合、「楽曲練習40分:エクササイズ:20分」といった具合です。最初にエクササイズから取り組み、後半に楽曲練習を進めると効果的です。
毎日自分が練習できる時間の中で、練習割合を決めてやっていきましょう。
3.学習の進め方とマインドセット
最後に、学習の進め方とマインドセットのお話です。
このサイトのカリキュラムでは、初級コースはできるだけ理論的な内容は排除して、最低限の知識に留めてあります。中級コース以降に理論的な内容の登場機会が増えます。
どのレベルにおいても一度にすべてを理解することは大変です。これから紹介する内容を念頭に学習を進めてください。
1. 学習の進め方
ある程度カリキュラムが進んだら、もどってきて再度学習しましょう。理解できることが少しずつ増えているはずです。こういった繰り返しの学習が、知識の吸収やスキル習得にもっとも大切です。
学習の進め方
- 理解ができない部分は飛ばして先に進める
- 理解できた範囲だけは最低限意識する
- ある程度カリキュラムが進んだらもどって再度学習する
知識とはいきなり吸収できるものではなく、実践を繰り返していくうちに段々と繋がってくるものです。
自分のペースを大切に、無理のない範囲で進めてみてください。
2. 上達に必要な要素とサイクル
上達に必要な要素とサイクルについて解説します。
知識ややり方を知っただけでは上達しませんし、練習しても弾けるようになるとは限りません。もっと大切なことは「課題の発見」と「共有と評価」です。それぞれのサイクルについて解説します。
a. 知識・手法の習得
最初に楽曲のアレンジや演奏のために必要な知識とやり方を学びます。知識に自信がない方は初級コースから実践するのがよいでしょう。
b. 楽曲での実践
学んだ知識と手法を使って、楽曲のアレンジと演奏を実践していきます。自分のレベルに合った楽曲を選ぶことが大切です。
c. 課題の発見
「自分がやっている練習は本当に正しいのか?演奏していることは合っているのか?」これらを自分で弾きながら気づくことは難しいです。
上達しない理由のほとんどは、自分の演奏を客観的に見られていないからです。それに気づくために「録画」と「振り返り」をしてください。
自分の演奏を聴くのは気が進まないと思います。でも、自分の演奏に向き合った人は、何倍も早く成長できます。逆に向き合わない人は永遠に上達することはできません。
d. 共有と評価
自分以外の誰かに聴かせることは自分をより成長させてくれます。最初の一歩はとても勇気がいるものです。
Keys-Labのプレミアムコースでは、講師による動画添削を受けることができます。人前での演奏のハードルを下げるためにも、自分の演奏に自信を持つためにも、ぜひ活用してください!
3. マインドセット
学習も練習もやっていく中で、うまくいかないことはたくさんでてきます。全てが思い通りにいくわけではありません。
これからピアノの伴奏を身につけるあなたに、覚えておいてほしい心構えについてお伝えさせてください。
a. できないことは当たり前
学習したことは忘れますし、練習してもなかなか弾けるようにならないこともあります。それはごく自然なことです。
できないことが当たり前です。だから、できた時は思い切り喜んであげてください。
このカリキュラムを実践していけば必ずできるようになります。信じて学習と練習を続けてください。
b. 「止まらずに」「正確に」を意識する
練習する時には、特に「止まらずに」「正確に」の2点を意識しましょう。
止まりながら練習していては、音がつながりません。間違えながら練習していては、音はきれいになりません。
残念ながら、上達しない人はこの2点を完全に忘れてしまっています。うまくいかない時はゆっくり練習や部分練習で自分の演奏を振り返るようにしましょう。
c. どうしたらできるかを考える
できないことにフォーカスせず、どうしたらできるようになるかを自分なりに考えましょう。
受け身な状態や、何も考えず闇雲に手を動かしているだけでは上達しづらいです。「どうすればできるか」を常に頭の片隅に置いて練習してください。
d. 毎日少しずつを続ける
僕の師匠の言葉を載せておきます。
規律があれば、どんな目標でも達成できます。音楽だけでなく、人生においても同様です。
毎日 18 分間 1 年間練習すると、世界中の 95% の人よりも上達できるという研究結果があります。
5%以内に入るには1日わずか18分しかかかりません。
18分。
しかし、毎日やらなければなりません。
18分という時間に縛られる必要はありません。最初は5分だけでもいいです。ただし、毎日続けてみてください。初心者にとっての最初の目標は「毎日楽器に触る習慣を身につけること」です。
継続は、たった1年であなたを別人に成長させてくれます。
e. 休憩を活用する
学習と練習に置いて、休憩はとても重要です。練習した後の休憩は、脳が整理されて練習したことを身体が覚えるための時間です。
1日の練習を複数回に分けてみましょう。2回目の練習時には1回目でできなかったことができるようになり、3回目の練習時には楽に弾けるようになったりします。
一度に何時間も練習するより、時間を分けたほうが疲れも少なく、効率的に吸収できます。もちろん、疲れているときは無理をせずに休んでくださいね。
まとめ
「ピアノ伴奏マスターコース」カリキュラムや、学習の進め方・マインドセットなどについて解説しました。
課題曲を設けているのは知識以上に実践の機会を増やしてほしいからです。実践の方が何倍も学べます。そして、弾けると嬉しいです。
ここから学習を進めていくみなさんが、1年後に大きく成長されていることを楽しみにしています!困ったことがあればぜひ講師を頼ってくださいね。
この記事のポイント
- 今の自分のレベルに合ったコースを選び学習することが大切。
- 楽曲とエクササイズの練習割合は7:3推奨。毎日自分が練習できる時間の中で続けよう。
- 弾くことだけに満足せず、自分の演奏を録画して振り返る機会を持とう。