ピアノ伴奏

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07. 伴奏パターン②白玉系パターンの発展

この記事は約 4 分で読めます。

この記事では、白玉系のアプローチをより音楽的にする方法を解説していきます。 

コード弾きの中でも、白玉系のアプローチは通常のリズムパターンとの対比を作りだしてくれます。特に静かな場面での演奏にとても効果的です。基本的な考え方は下記の記事を参照してください。

今回は白玉系アプローチをより音楽的なアレンジにするコツを解説していきます。

この記事のポイント

  • 白玉系アプローチをより音楽的にする方法がわかる
  • 複雑なテクニックがなくても効果的なアレンジのポイントがわかる

1.コードトーンを用いたアプローチ

白玉系アプローチは「空白部分をどんなアプローチにするか」によって大きく雰囲気が変わります。

まずは、手軽に使えるコードトーンを用いたアプローチ方法を解説します。

  1. コードトーンの単音アプローチ
  2. 転回形の中抜きアプローチ

それぞれどのような雰囲気なるのかを見ていきましょう。

1. コードトーンの単音アプローチ

名前のとおり「コードトーンからひとつ音を選び、次のコードの手前に置く」アプローチです。

2分音符の隙間にコードトーンを入れるととても自然なアプローチになります。白玉の雰囲気を残しつつ、ほんの少しリズムを出したいときに効果的です。

2. 転回形の中抜きアプローチ

転回形の中抜きとは、「それぞれの転回形の間の音を抜く」アプローチです。

例えば、Cメジャーの場合、

  • 基本形:ド・ミ・ソ→「ド・ソ」
  • 第一転回形:ミ・ソ・ド→「ミ・ソ」
  • 第二転回形:ソ・ド・ミ→「ソ・ミ」

このようにコードの間の音を抜くとそれぞれの和音の印象的な音のみが残り、転回形の雰囲気を残しつつもスッキリとした響きになります。

この考え方を元に音を追加してみましょう。

転回形の動きが加わり、和音の流れが生まれましたね。同時に和音を中抜きにしているためスッキリとしたサウンドになります。

3. ミックスしたアレンジ

では、「1. コードトーンの単音アプローチ」と「2. 転回形の中抜きアプローチ」をミックスしたアレンジを聞いてみましょう。

どちらか片方だけのアプローチのときより、音楽的な流れができているかと思います。

このようにひとつひとつのアプローチはシンプルでも、組み合わせ方で無限にアレンジを作ることができます。

常にメロディーとのバランスを考える必要がありますが、まずは扱いやすいコードトーンを使ったアプローチを押さえておくとよいでしょう。

2.アプローチノートを用いたアレンジ

「アプローチノート」とは、「対象の音に対して、上下の音からアプローチする音」のことを指します。一般的には装飾音ともよばれますが、ここではジャズをルーツとする用法を解説してきます。

とても効果的なアプローチなので、ぜひマスターしましょう。

1. アプローチノートとターゲットノート

「アプローチノート」とは、目標とする音に向かう音や経由する音のこと。そして、その目標の音のことを「ターゲットノート」と呼びます。

つまり、「目標の音(ターゲットノート)へ経由する音(アプローチノート)」という用法です。

アプローチノートの手法にもいくつか種類がありますが、まずは「ダイアトニックスケールをアプローチノートとして使う方法」を覚えていきましょう。

2. ダイアトニックスケールを経由するアプローチ

このアプローチは、「1.コードトーンを用いたアプローチ」のアプローチよりメロディアスな伴奏になることが特徴です。

まずはこちらをご覧ください。

クリックすると大きな画像が表示されます。

アプローチノートだけを書き出すと、スケール上のほとんどの音が使用できることがわかります。

上記のように、ターゲットノートの隣にあるダイアトニックスケール上(=メジャースケール上)の音がアプローチノートになります

下記にC→Gのつながりで色々なアプローチノートで表現しました。それぞれの経由する音がどのような雰囲気を作っているのかを聞いてみましょう。

次のコードの手前でアプローチノートを経由すると、このようなメロディアスな音の流れを作ることができます。

アプローチノートを使用する際、ひとつ前のコードの転回形は問いません。跳躍するような動きになってもきれいにつながります。

アプローチノートのポイントと注意点

このアプローチはどのようなコードの転回形でも同じように考えることができます。ただし、伴奏がメロディアスになる分、歌のメロディーへの影響が大きくなるので、どのような音を使うとしても歌の邪魔にならない音を選ぶようにしましょう。

3. アプローチノートの実例

では、実際にコード進行の中で見ていきましょう。

 

a. アプローチノートアレンジ①

まず、全部にアプローチノートを加えたものを演奏します。

音の流れはきれいですが、ややくどくも感じます。

b. アプローチノートアレンジ②

次は上記から音を間引いてみましょう。

音を間引いたことで流れがすっきりしました。

c. アプローチノートアレンジ③

アレンジの音使いを変えてみました。

このように音の入れるタイミングや、使用するアプローチノートの選び方でアレンジを発展させることができます。

次のコードの一番上の音にアプローチするとメロディアスになり、真ん中や最低音へアプローチすると内声的な雰囲気になるという特徴を押さえておきましょう。

この違いを理解して使い分けられるようになると雰囲気のある伴奏が作れます。ご自身でも実践して感覚を掴んでみてください。

まとめ

それぞれのアプローチの理屈自体はとてもシンプルなものですが、ポイントは「組み合わせの工夫」です。手札は少なくても、考え方や工夫でいくらでも発展させることができます。

こういった組み合わせを扱えるようにするには、実際にいろいろなパターンを考えてみること、そして弾いてみること、その両方の実践が欠かせません。

まずはこの記事内で紹介した内容を実際に弾いてみましょう。弾き慣れたら自分でもアレンジを考えてみたり、キーを変えて弾いてみると効果的です。

最初はうまくできなくても、回数を重ねていくとともにだんだん上達していきます。ぜひ習得してください!

この記事のまとめ

  • コードトーン(単音・転回形中抜き)・アプローチノートの活用でコード伴奏が華やかになる。
  • アレンジのコツは組み合わせの工夫。
  • 自分なりに考えてみること、弾いてみること、すなわち実践することでアレンジのスキルが身についていく。

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