今回は、「STEP0:楽曲の全体像を把握する」について実際に課題曲を使ってやっていきましょう。
楽曲の全体像とは主に以下のような要素のことです。
- キー
- テンポ
- 曲の構成
- コード進行の特徴と共通点や類似点
今回からGReeeeNの「キセキ」のコード進行を題材に、伴奏を完成させるステップを解説していきます。
ここからのステップは必ず実践しながら取り組んでください。実践することで知識や演奏が身についていきます。難しければ、何度も復習しながらクリアしていってください。
1.キーを確認する方法
キーを確認する方法はいろいろありますが、以下の順番がおすすめです。
- 楽譜を参照する
- コードサイトを参照する
- メロディーを弾いてメジャースケールを特定する
キーの特定は初級者には難易度が高いため、楽譜がある曲から取り組むのがベストですが、それぞれのやり方について見ていきましょう。
1. 楽譜を参照する
もっともおすすめなのは、市販されている楽譜・楽譜が掲載されている歌本でキーやコードを確認することです。市販の出版物には以下のようなメリットがあります。
- キーが特定できる情報が書かれている(Key=●や調号など)
- コード進行が記載されている
- 出版前にチェックされているため、内容の信憑性が高い
稀にコード進行の記載がない楽譜があります。必ずコードの記載がある楽譜を選ぶようにしてください。
今回の課題曲「キセキ」は、こちらでマスターリズム譜を用意しました。
このように事前にマスターリズム譜が準備されていると、のちのちの作業が進めやすくなるのでおすすめです。
マスターリズム譜の作り方はこちらの記事で解説しています。また、調号からキーを確認する方法はこちらの記事で解説しています。
2. コードサイトを参照する
次におすすめなのはコードサイトを見ることです。最近は曲のコード進行を掲載したサイトが多数あります。以下に代表的なものをまとめます。
ChordWiki | https://ja.chordwiki.org/ | 掲載曲数2万曲強。 掲載数は少ないが、オリジナルキーのコード進行・テンポ・拍子などが確認できる。 コード進行の精度も割と高め。ただしキーの変更ができない。 |
楽器.me | https://gakufu.gakki.me/ | 掲載曲数7万曲以上、国内最大の歌詞&コードサイト。 コードの精度はまあまあ高め。視認性が高く、キー変更もわかりやすい。 |
U-フレット | https://www.ufret.jp/ | 楽曲数7万曲以上。 楽器.meに並ぶ国内最大の歌詞&コードサイト。 楽器.meよりコードの精度はやや劣る印象だが、他のサイトで掲載されていない楽曲がある。 |
キーの特定に関していえば、この中でもっともおすすめは「ChordWiki」です。
オリジナルキーのコード進行が載っているだけでなく、テンポやキーの情報・拍子などまでまとめられており、もっとも音楽的なサイトです。最初はこのサイトを見るとよいでしょう。
それ以外のサイトではコードネームと歌詞は記載されていますが、デフォルトで移調されていることがあります。一度オリジナルキー(±0)に設定した上で下記の表を参照してください。
序盤(イントロやAメロなど)のコード進行を抜き出して、どのダイアトニックコードが含まれているかを確認するとキーの特定がしやすくなるでしょう。
3. 曲のメロディーを鍵盤で弾いてみる
メロディーを鍵盤で弾ける人は、実際にメロディーを弾いてみましょう。
メロディーで使われている音が下記のどれかに当てはまります。これもAメロとBメロなど楽曲の序盤のメロディーで確認してみるとよいでしょう。
2.テンポを確認する
テンポを確認するおすすめの方法は「メトロノームアプリ」です。
Metronome: Tempo Lite
開発元:Frozen Ape Pte. Ltd.
このアプリはシンプルな操作性ながら、テンポ測定や拍抜きなどトレーニングに必要な機能をすべて備えたアプリです。とても重宝するのでぜひインストールしておいてください。
テンポの測定方法については下記をご確認ください。
- 1
- 2
- 3
楽曲を再生しながら、アプリ画面の「TAP」をリズムに合わせて叩いてみましょう。何回か叩いているうちに数値が楽曲のテンポに近づいていきます。
ある程度数値が一定になってきたら、楽曲に合わせてメトロノームを再生します。メトロノームが早ければテンポの数値を遅く(ー)、逆に遅ければ早く(+)を繰り返して、楽曲に近いテンポを探ってみましょう。
特定できたテンポをメモしておきましょう。
この数値はだいたいで大丈夫です。ある程度のテンポがわかっていると練習がやりやすくなります。
3.楽曲の構成を確認する
次に、用意したマスターリズム譜を使って楽曲の構成を確認していきましょう。
まずは反復記号の位置を確認して、「どのように進行しているか」をチェックしましょう。
楽曲の進行が把握できたら、「どのようなセクション構成になっているか」を書き出してみてください。下記と一致していれば大丈夫です。
キセキの進行
Intro ⇒ A ⇒ B ⇒ サビ(1カッコ〜リピート記号でAに戻る) ⇒ A ⇒ B ⇒ サビ(2カッコ〜Cに進む) ⇒ C ⇒ Inter ⇒ 3サビ ⇒ 4サビ ⇒ Outro
4.コード進行を確認する
最後にコード進行を確認していきます。
コード進行はひとつの楽曲内で何度も繰り返されることが多いです。この時点でコード進行がどういうものかわからなくても、「進行の共通点や類似点」に気づいていくことがポイントです。
1. セクションごとの進行をチェックする
最初にセクションごとのコード進行をチェックしてみてください。共通する進行や類似する進行が出てくるはずです。それらをグループ分けしてみましょう。
- Intro・A・Outroは完全に一致
- サビはほぼ一致、Interはサビに類似
- Bはサビに類似しているが、やや異なる
- Cと4サビ後半は類似
という風に、ざっくりでよいので特徴を見つけていきましょう。上記の特徴から4つに色分けしてみました。
1番(Intro・A・B・サビ)が理解できれば、楽曲の8割以上のコード進行が演奏できるということになりますね。
2. ダイアトニックコード以外をチェックする
楽曲のほとんどがダイアトニックコードで構成されていますが、一部それ以外のコード(「ノンダイアトニックコード」といいます)が含まれている場合があります。
では、ノンダイアトニックコードに丸をつけていきましょう。
- Eaug
- E
- Fm
- Ab
- Bb
上記のコードが何度も登場していることから、ノンダイアトニックコードにも傾向があることがわかりますね。
楽曲を演奏するためには、ダイアトニックコードに加えて上記5つのコードを押さえられればよいわけです。
まとめ
楽曲の全体像の把握について解説してきました。このように全体像が見えると、思ったほど複雑な楽曲ではないことがわかります。
基本的には1番が理解できれば、大抵の楽曲の8割が演奏できます。
今回の課題曲でも、まず1番(Intro・A・B・サビ)のコード進行を確認していきましょう。1番が理解できるようになった頃には、2番以降やCといった他のセクションにも対応できる力がついています。
ひとつずつクリアしていきましょう!