今回からいよいよインストセクションのアレンジに着手します。インストセクションとは歌がなく、メロディーを楽器が担当する部分のこと。いわばソロピアノのようなものです。
アレンジされた楽譜が市販されていますが、それらはどのように考えられているのか。実際に楽曲でアレンジしていきながら、その考え方とヒントを解説していきます。
この記事のポイント
- インストセクションのアレンジ方法がわかる。
- アレンジ力を磨く方法がわかる。
1.インストセクションのアレンジステップ
インストセクションのアレンジは、主に4つのステップに分かれます。
- メロディーを弾く
- 左手を加える・左手をアレンジする
- 右手に和音付けする
- 調整する
ここまで学んできたアレンジの知識があれば、ひとつひとつのステップはスムーズに理解できるはずです。
1. メロディーを弾く
インストセクション分のメロディーは歌ではなく、楽器が担当します。原曲を聴き、インストセクションのメロディーを聴き取り、まずは単音で弾けるようになりましょう。
まれにメロディーが聞き取りづらい(判別しづらい)アレンジのものもありますが、印象的に聞こえるメロディーをできる限り聞き取ってみてください。
メロディーが判別できない部分は基本的にコードを使ったアレンジにしたり、楽曲の雰囲気を損なわないようなアレンジにすることが多いです。具体的なやり方は実践編で解説します。
2. 左手を加える・左手をアレンジする
次に左手をアレンジしていきましょう。まずは左手でベース音(ルート)を押さえながらメロディーを弾いてみてください。これだけでも曲の雰囲気が見えてくるはずです。
この後の左手アレンジはケースバイケースですが、基本的には下記の使い方でほとんどのアレンジが完成します。
- ルート単音
- ルートオクターブ
- ルート+コードトーン
これらを同時に鳴らしたり、アルペジオで鳴らしたり、それらの組み合わせで構成されていることが多いです。
3. 右手に和音付けする
次に右手に和音を加えていきます。基本的な和音の加え方は下記になります。
- コードチェンジのタイミングでコードトーンを加える
- メロディーを強調したい部分はオクターブにする
- 3度や6度のハモリを加えてみる
それぞれの特徴を理解して、組み合わせていきます。
a. コードチェンジのタイミングでコードトーンを加える
コード記号は和音の指示記号です。つまりは、メロディー以外で使える音の指示ともいえるでしょう。コードが指定されている期間の中でコードトーンをメロディーに加えることでハーモニーを生み出せます。
b. メロディーを強調したい部分はオクターブにする
メロディーは単音ですが、強調したい場合は1オクターブ上下の音を加えて演奏することが多いです。オクターブはメロディーが際立つためよく使われます。
c. 3度や6度のハモリを加えてみる
3度や6度のハモリとはコードトーン以外のハーモニーを作りたいときに効果的です。コードトーン以外の音を使用したいときに用いるとよいでしょう。
4. 調整する
最後は「より良いアレンジにできないか」を考えます。大抵、3までのステップでアレンジが完成することが多いので、特に改善点などなければこのステップは不要です。
より良いアレンジがよくわからないことの方が多いかもしれません。この後解説する実践の内容や、アレンジを磨く方法を学んでいくとだんだん自力で考えられるようになっていきます。
4.インストのアイデアを磨く方法
紹介した手順で実際にやってみると、なかなか思うようにいかないかもしれません。まずはお手本のアイデアを練習して、インストを弾く感覚を掴んでいきましょう。
インストのアイデアの磨く方法は、ピアノのインスト曲の楽譜を実際に見て弾いてみることです。できれば音源がある楽譜がよいですね。最初に音源を聴き、好きな箇所をピックアップします。4〜8小節などの少ない小節数でかまいませんので、「どのような音使いをしているのか」を研究してみてください。
アレンジ力を磨くには、考え方や手順を頭の片隅に置きながら音を鳴らすことが大切です。
- 右手の和音の重ね方は?メロディーに対して、何度の音が重ねられているか。
- 左手の音使いは?ルート+5度+ルート以外にどんな音使いになっているか。
- 右手と左手のリズムがどのように絡み合っているか。
などなど、このあたりを意識して研究するといいでしょう。
アレンジ力を磨くという点では、一曲を通して弾くよりも勉強になると思います。ぜひトライしてみてください!
まとめ
インストセクションのアレンジ方法について解説しました。紹介したやり方が全てではありませんが、基本的なインストアレンジを掴んでいくためにとても有効です。
- メロディーを弾く
- 左手を加える・左手をアレンジする
- 右手に和音付けする
- 調整する
左手のアレンジと和音付けができるようになると、ソロピアノのアレンジをする感覚が掴めるはずです。実践編でその感覚を掴んでいきましょう。
この記事のポイント
- インストセクションの主役はメロディー。メロディーの判断が難しい場合はできるだけ雰囲気を感じられるメロディーだけ書き出してみよう。
- メロディーと左手アレンジで概ねアレンジの骨格はできあがる。和音付けは最後のステップに持ってこよう。
- ピアノインスト曲の楽譜はアイデアの宝庫。好きな曲の楽譜から好きな箇所をピックアップして研究してみよう。