では、白玉系のアプローチをより音楽的に発展させていきましょう。
コード弾きの中でも、白玉系のアプローチは通常のリズムパターンとの対比を作りだし、静かな場面での演奏にとても効果的です。基本的な考え方は下記の記事で解説しています。
実際に「A」のコード進行を題材にいろいろなパターンを紹介していきます。どのように考えて、実践的なアレンジになっているのかを見ていきましょう!
この記事のポイント
- 白玉系アプローチをより音楽的にする方法がわかる。
- アレンジのコツや効果的な音づかいのポイントがわかる。
1.コードトーンを用いたアプローチ
こちらで紹介したコードトーンを用いたアプローチは下記でしたね。
- コードトーンの単音アプローチ
- 転回形の中抜きアプローチ
それぞれどのような雰囲気なるのかを見ていきましょう。
1. コードトーンの単音アプローチ
「コードトーンからひとつ音を選び、次のコードの手前に置く」アプローチでしたね。
丸の箇所がコードトーンです。指定されているコードの音を使用しているので、自然なアプローチになります。白玉の雰囲気を残しつつ、少しリズムを加えたいときに効果的です。
2. コードの中抜きアプローチ
コードの中抜きとは「三和音の間の音を抜く」アプローチでしたね。
コードを展開させると同時に、転回形の中抜きを加えると以下のような雰囲気が作れます。
丸の箇所が「中抜き」です。転回形の動きで流れが生まれ、中抜きにしているためスッキリとしたきれいなサウンドになりました。
2.アプローチノートを用いたアレンジ
「A」のコード進行の特徴として、ノンダイアトニックコードが含まれていることからアプローチノートは少し考える必要があります。
どのような考え方で音を選ぶのかを見ていきましょう。
1. ノンダイアトニックコードに対するアプローチ
特に印象的な「CからEaug/G#」への移動を題材に例を用意しました。まずはターゲットノートとアプローチノートを洗い出しましょう。
- ターゲットノート:Eaugのコードトーンである「ソ#・ド・ミ」
- アプローチノート:ターゲットノートの上下にある「ソとラ」「シとレ」「レとファ」
上記のように、ターゲットノートの上下にあるダイアトニックスケール上(=メジャースケール上)の音がアプローチノートになるわけです。
次のコードを演奏する前にこれらのアプローチノートを鳴らすとメロディアスな伴奏ができあがるということですね。
実際に音を聞いてみましょう。
「ソ」から「ソ#」へ音が流れが印象的に響いています。
こちらは「ラ」から「ソ#」へ半音下がる動きが印象的に響いていますね。
こちらは「シ」が「ド」へつながる響きがとてもきれいですね。
「レ」は「ド」と「ミ」どちらにも繋がります。
トップノートが「ファ」から「ミ」につながり、メロディーの印象が強いです。きれいな流れですが、歌を邪魔しないかチェックが必要ですね。
アプローチノートのポイントと注意点
このアプローチはどのようなコードの転回形でも同じように考えることができます。ただし、伴奏がメロディアスになる分、歌のメロディーへの影響が大きくなるので、歌の邪魔にならない音を選ぶようにしましょう。
3. アプローチノートの実例
では、「キセキ」のAメロのコード進行を用いていくつかアプローチノートの実例を見ていきましょう。
a. アプローチノートアレンジ①
4小節で2箇所くらいの量感だととてもシンプルな雰囲気になります。
b. アプローチノートアレンジ②
トップノートへのアプローチを増やしました。メロディアスな流れが感じられるアレンジです。
c. アプローチノートアレンジ③
コードの転回形をだんだんと下に下がるような流れでアプローチノートを加えています。②のパターンと比べ、落ち着いた雰囲気ですね。
3.左手のアルペジオを加える
白玉系アプローチと左手のアルペジオはとても相性がよいです。
特に「ルート+5度+ルートオクターブ」の組み合わせは左手のアルペジオの鉄板!
この音使いを組み合わせて、どのように発展させるのかを見ていきましょう。
1. アレンジ例①
左手から右手へアルペジオの流れが作られています。組み合わせ方でアルペジオの雰囲気が変わっているのがわかりますね。
2. アレンジ例②
トップノートを意識して転回形を加えながら、アルペジオを加えています。①のアルペジオを入れるタイミングが変わりまったく別のアレンジになっていますね。
まとめ
それぞれのアプローチの理屈自体はシンプルなものですが、このように組み合わせを工夫することが伴奏のアレンジではとても大切です。組み合わせを理解するには実際にいろいろなパターンを考えてみること、弾いてみること両方の実践が必要になります。
まずはこの記事内で紹介した内容を実際に弾いてみてください。弾き慣れたら自分でもアレンジを考えてみましょう。最初はうまくできなくても、回数を重ねていくとともにだんだん上達していきます。
自分なりに雰囲気がよいと感じるアレンジを考えてみてくださいね!
この記事のまとめ
- 音の選択肢が増えることで、音の選び方が難しくなる。メロディーを常に意識すること。
- 左手のアルペジオで華やかになるが、適切な音数になるように考えてみよう。