ここではもっとも基本的な楽譜の読み方について、必要最低限に絞って解説していきます。
いきなり全てのことを覚える必要はありません。読み方がわからなくなったり、思い出したい時にこのページに戻って確認してください。
1.楽譜を構成している要素
五線
楽譜の基本となる部分で、通常は5本の横線で構成されます。これらの線とその間のスペースに音符や休符を配置して、音の高さを表します。
音部記号(おんぶきごう)
ト音記号 | へ音記号 |
---|---|
音部記号は、楽譜上で音の高さを示す役割を果たします。他にもいろいろな音部記号がありますが、鍵盤奏者は「ト音記号」と「ヘ音記号」の2つを覚えておきましょう。
ト音記号の円の中心部分がソの音を表し、ヘ音記号の点と点の間がファの音を表します。基本的には「ト音記号が右手パート、ヘ音記号が左手パート」と考えておくとわかりやすいでしょう。
より詳しい音符の読み方については下記の記事を参考にしてください。
音符・休符
「音符」は音楽の演奏を指示する記号で、さまざな種類があり音の長さや高さを示します。「休符」はその名のとおり演奏中のお休みを示す記号で、音符とセットで楽譜上に配置されます。
下記にとくによく使われる音符と休符をまとめました。記号とそれぞれの長さを把握しておくとよいでしょう。他にも連符といった音符もありますが、登場の機会があった際に解説します。
拍子記号
楽譜の冒頭に書かれ、曲の拍子を示します。4/4拍子や3/4拍子などがあり、それぞれ1小節に含まれる拍の数と、各拍の長さを示します。
例えば、4/4拍子の場合は「1小節=4分音符の長さの拍が4つ」と考えます。
調号
楽譜の冒頭や曲中の転調前に書かれ、曲の調性を示します。曲がどの音階を基準としているかを示し、演奏や楽曲の理解をわかりやすくします。
臨時記号
音の高さを変化させるために使われる記号です。
五線譜上に書かれ、特定の音符の直前に記載されます。半音の上げ下げや調性の変化を示すときに用いられます。
-
シャープ(♯): 音を半音上げるための記号で、書かれている音符の半音高い音を示します。例えば、シャープが付いた「ファ」は、半音上の「ファ#」を意味します。
-
フラット(♭): 音を半音下げるための記号で、書かれている音符の半音低い音を示します。例えば、フラットが付いた「シ」は、半音下の「シ♭」を意味します。
-
ナチュラル(♮): シャープやフラットによって変化させられた音を元の音に戻す記号です。ナチュラルが付いた音符は、シャープやフラットの効果を取り消します。
弧線
音符から音符にかけてかかる弧線に「タイ」と「スラー」があります。
- タイ:同じ音にかかり、音符の長さを変える
- スラー:異なる音にかかり、滑らかに切れ目なく演奏する
上記を押さえておきましょう。
2.楽譜の進み方を示す記号
楽曲には同じ箇所を繰り返す場面が多く登場しますが、「リピート記号」や「反復記号」を用いて、小節単位での繰り返しや省略を表記できます。
楽譜の構造をシンプルにできるので、楽譜の量を減らし曲の全体像が把握しやすくなります。どんな記号があるのかをみていきましょう。
リピート記号
曲の一部分を繰り返し演奏する際の記号です。
「:」(ダブルコロン)で囲まれた範囲を往復し、1回目(1カッコ)と2回目(2カッコ)にそれぞれ進む範囲を示します。また、カッコの記載がない場合もあります。
上記はどのように進むかわかりますか?考えてみましょう!
答えはこちら!
①→②→③→④→⑤→⑥→①→②→③→④→⑦→⑧
反復記号
これらのマークは楽譜の進み方をより効率的にする際に使用されます。代表的な3つの表記を押さえておきましょう。
- ダルセーニョ(D.S.):曲の特定の場所から指定された場所まで戻ることを示す記号。イタリア語で「セーニョに戻る」という意味です。通常は「D.S.」と書かれ、セーニョマークの箇所まで戻ります。
- コーダ(Coda): D.S.した後、特定の場所から指定の場所に進むことを示す記号。「to Coda」の記載があった場合、コーダマークの箇所まで移動します。
- ダ・カーポ(D.C.): ダ・カーポは、イタリア語で「頭に戻る」という意味です。楽譜上で 「D.C.」と表記されます。ダ・カーポの指示がある場合は、楽譜の最初まで戻ります。
簡単にすると以下のようになります。
ダル・セーニョ | |
ダ・カーポ | |
コーダ ※ダルセーニョやダ・カーポ後のみ |
上記の記号を使ってふたつ問題を用意しました。どのように進むか考えてみましょう!
答えはこちら!
①→②→③→④→⑤→⑥→①→②→③→④→⑦→⑧
答えはこちら!
①→②→③→④→⑤→⑥→①→②→③→⑦→⑧
3.楽曲の構造を示すセクション記号
セクション記号とは、楽曲の構造を示すために使用されるラベルのようなものです。「リハーサルマーク」とも呼ばれ、楽曲の進行やセクションを識別するのに役立ちます。
下記に、セクション記号の説明をまとめました。
最近のJ-POPでは複雑なセクション構成の楽曲が多くありますが、基本的には下記の中で構成されていることがほとんどです。
名称 | 別名 | 解説 |
---|---|---|
Aメロ | Verse | 楽譜上に「A」と表記されます。 |
Bメロ | Pre-ChorusまたはBridge | 楽譜上に「B」と表記されます。 Aメロとサビ(コーラス)の間に置かれる部分で、曲の緊張感を高めたり、展開を促進します。 |
サビ | Chorus | 楽譜上に「サビ」と表記されます。 曲の中で最も重要な部分の1つであり、通常は曲のタイトルや主要なフレーズを含みます。 ※まれに「C」と表記されることもあります。 |
インタールード(Interlude) | ー | 楽譜上に「Interlude」もしくは「Inter」と表記されます。 AメロやBメロ、サビなどの前後に歌のない間奏として配置されることが多いです。 |
ソロ(Solo) | ー | 楽譜上に「G.Solo」などと表記されます。 特定の楽器(最も多いのはギター)によるソロ演奏を示します。 |
アウトロ(Outro) | ー | 「Outro」と表記され、いわば後奏です。 曲の終わりに置かれる部分で、通常はイントロや他のセクションの要素を取り入れながら徐々に曲を終了することが多いです。 |
Cメロ | ー | 「A」「B」「サビ」の後に置かれる追加のメロディックなセクションです。 Cメロはこれまでに登場したセクションとは異なるメロディーを持ち、楽曲の展開やさらなる発展に大きな影響を与えます。 ※「サビ」を「C」を表記した場合、「D」と表記されることもあります。 |
4.略記号
略記号とは、楽譜上で特定の演奏指示や記号を省略するために使用される記号や記法のことです。
楽譜を見やすくし、演奏者に指示を簡潔に伝えるのに役立ちます。特によく使われるものをご紹介します。
オッターヴァ(8va)
「オッターヴァ(8va)」とは、指定された範囲の音をオクターブ上で演奏することを指示する記号です。音符が五線より大きく飛び出してしまう時に、こちらの記号を使って読みやすくします。
上記のように「8」だけで記載されることもあります。
シミレ(simile)
「シミレ(simile)」とは、直前の小節や拍の繰り返しを示す記号です。simileとは「同様に」との意味があり、「同じように弾く」と解釈しておくとよいでしょう。
小節単位のsimile | |
拍単位のsimile |
まとめ
初心者が知っておきたい、楽譜の基本的な内容を解説しました。
楽譜を読むことは大変ですが、曲を理解する際に大きな手助けになってくれます。
いきなり全てを覚えられなくても大丈夫です!曲を演奏する過程で、こういった記号を確認しながら進めていくことで少しずつわかってくるものです。
こちらのページを活用して少しずつ覚えていきましょう!